戸建分譲についての取り組み
先日お伺いしたビルダーの経営者の方(仮にA社長と呼ぶことにします。)と戸建分譲の取り組みの話題で盛り上がりました。
A社長の会社は、戸建分譲デベロッパーとして数多くの実績を残してきていますが、現状では自社で事業全体を完結することは殆ど無いそうです。
戸建分譲の際に求められる、開発・建築・販売という機能を役割分担し、各々が適正なリスクとリターンを見込むことができるようプロジェクトを組成することで、各社が得意分野で事業を加速させていくという方針とのことでした。
一般にデベロッパーは外注先である建築・販売といった企業とは、利益が相反する関係となります。
プロジェクトのコストとなる建築費や販売手数料が安く済めばデベロッパーの利益になる訳ですから、当たり前と言えば当たり前です。
一方、プロジェクト全体を自分で抱え込むことになるので、事業のリスクが見えにくくなり、どこかが綻ぶとプロジェクト全体、ひいては会社全体に致命傷をもたらすことも少なくありません。
A社長は1つのプロジェクトについて、信頼できるネットワークにおいて参加者を募り、参加者全員で責任と利益をシェアする仕組みを考えていました。
この取り組みを、ファイナンスの視点から考えると、ここでも役割分担が必要となります。
デベロッパーが土地を仕入れる資金は、土地を担保にしたデット+開発利益を見込んだエクイティとなるでしょう。
ビルダーが建物を建築する資金は、ビルダー与信での運転資金融資、または買主との売買契約等に基づく債権担保融資(ABL)ということになるでしょう。
イメージとしては、1つのプロジェクト毎にデット+ABL(or与信融資)+エクイティというファイナンスが組成され、各々リスクに見合ったリターンを得ることになります。
今後A社長とは、実務とファイナンスが補完しあえるような関係を模索していきたいと思います。
住宅業界において価値を創造する企業をファイナンスでサポートすることで住宅業界に貢献する、というのが当社のミッションであり、A社長にも是非業界のモデルとなる仕組みをつくって頂けるよう応援していきます。
今後もA社長との取り組みを随時レポートしていきますのでお楽しみに。