空き家の本
少し前から、空き家問題に関する本がたくさん出版されていますね。
最近読んだのが、
「解決!空き家問題」(中川寛子著・ちくま新書)
という本でした。
空き家は不動産ですから、全てに共通する課題解決策はありません。
不動産の立地、既存建物の構造やコンディションばかりでなく、所有者の意向も活用方針に強く影響します。
「解決!空き家問題」では、空き家活用の観点として収益性・公益性・社会性という3つのキーワードが挙げられていました。
不動産業界では、空き家問題の解決策というと収益化をいかに図るかという観点で議論されることが多いです。
収益が生まれないと仕事にならないから当然ですね。
一方、立地や所有者の意向で、収益化が難しい物件というのも多いと思います。
このような物件の解決策として、福祉や地域振興の拠点となる施設として提供したり、さらには、個別の空き家問題として扱うのでは無く、地域の活性化により結果として空き家問題が解消した事例が紹介されていました。
また、
「常識破りの空き家不動産投資術」(村上祐章著・株式会社ビジネス社)
という本も読みました。
ここでは、空き家を所有する大家さんから、建物を借り上げ、転貸する手法について紹介されていました。
リノベーション!と気合いを入れるのでは無く、最低限住めるように掃除等をして、あとは入居者が自由に手を入れることができるような運用方法でした。
リフォーム費用を抑えることにより、賃料を抑えても投資回収が早期に見込める一方、入居者にとっては、安い家賃で住むことができ、かつ自分で手を入れながら住むことで愛着が沸き長期入居につながっているとのこと。
大家さんにとっては、貸すことが難しいのでは無いか、あるいは、リフォームにお金がかかるのでは無いか等々、賃貸を始めることが負担になっているケースもあると思います。
「解決!空き家問題」でも課題として書かれていましたが、空き家所有者からの相談相手として、通り一遍の解決策にとらわれず、現実的な方策で所有者の背中を押してあげるということも必要なのだと思います。