老人漂流社会

先日、高齢者介護事業についてのセミナーを受ける機会がありました。(UBI株式会社主催のセミナーで、講師は株式会社アスフォンの小嶋さんでした。)


セミナーでは、これまでの介護事業は誰でもやれば儲かる事業だったが、今後はバブルが崩壊し、淘汰が起こると話されていました。


引き金は医療報酬や介護保険法の改定で、これは不動産バブルの引き金が総量規制だったことと酷似しているとの見解でした。


たしかに財政面から考えるても、今後介護報酬をはじめとした公的給付の選択と集中が必要であることは明かで、今までの延長線上での事業は限界があるのでしょう。


一方、きっかけは忘れましたが、老人漂流社会(NHKスペシャル取材班著・主婦の生活社)という本を読みました。


主に経済的な理由から自分の行き場が無くなってしまったお年寄りの行く末について書かれた内容でしたが、衝撃的な内容でした。


セミナーでは、低価格帯ホーム(東京周辺で入居費が月額15万円くらいまでのホーム)について「安かろう悪かろう、でもOK」と話されていましたが、この価格帯でも、負担ができてホームに入れる方は本当に『OK』なのだと実感しました。


国民年金だけだと、月額7万円弱の給付となるため、例えば夫婦元気なうちは2人分の年金だけでで何とか生活ができても、どちらかが亡くなったり認知症がひどくなったりすると、とたんに立ちゆかなくなってしまいます。


本の中では、ショートステイの施設をたらい回しにされたり、無料定額宿泊所や精神科病棟を終の棲家にせざるを得なかったり、具合が悪くても病院にすら行けないお年寄りの現実が書かれていました。


セミナーで今後の介護事業のキーワードの一つに「自分らしく生きること、死ぬことの意義、目的などの変化」というものが挙げられていました。


自分の老後の生き方を自分で選ぶためにも、まず自らが選択肢を増やすべく準備をすることが必要であり、不動産業界としてもソフト・ハードの両面で対応を検討する必要があると痛感しました。


また、限られた公的給付を本当に必要な人に届けるためにも、元気な高齢者が増え、年齢に関係無く労働生産人(口)に入っていてもらえるようになれば、少子化も怖くないと思います。


こちらも先日読んだ『そうだ、葉っぱを売ろう(横石知二著・ソフトバンククリエイティブ)』では、年配の方が本当にいきいきと仕事に取り組んでいる姿が印象的でした。


ということで、散漫な内容となりましたが、ここのところ、読むもの、聞くことに妙なつながりを感じていて、仕事にもつながるのではないかな?と考えています。

更に学びながら、具現化していきたいと思います。