銀行問題の核心という本を読みました。

『銀行問題の核心』(江上剛郷原信郎著・講談社現代新書)という本を読みました。


反社融資、中小企業融資、銀行と検察との関係について書かれていました。


ちょうど先日、とある金融機関の方と話をしていて、反社チェックについて話題になったことがありました。

正確には不芳属性先、文字通り取引するのは芳しくない先ということですが、その定義や範囲の規定を各々の金融機関が独自に行っているため、担当者としては非常にやりにくいとのことでした。

指定暴力団の構成員がNGです、ということであれば、善し悪しは別にしてシンプルで分かりやすく、担当者としては説明がしやすいと思いますが、金融機関にとって芳しい・芳しくないという区分は極めて曖昧で、説明すること自体が非常にデリケートだと思います。

金融機関が独自の基準を持って取引先を選別していくというのは、ある意味の経営判断でもあり、必要なことなのだとは思いますが、謝絶された方がナゼなのか分からない、いわゆる総合的に判断してという説明は、遺恨を残すことにもなりかねません。

現実的ではないかもしれませんが、例えばJICCやCICのように、金融機関が情報を登録するデータベースを設け、融資を申し込む法人・個人が照会できる仕組みが必要なのかもしれません。


また、中小企業融資については、本書において銀行に上手くアクセスできない中小企業という表現がありましたが、全くもってその通りだと思います。

話がずれますが、このブログを喫茶店で書いているんですが、隣では融資ブローカーと思われる2人が熱心に話をしています。

曰く、自分(眼鏡をかけたA氏)は資金調達のノウハウ(というかノウハウを持っている人)を知っているので、Bさん(短髪で暑いのにネクタイきっちり)が資金調達の相談を受けたら、まず自分に相談してもらえればフィーをキックバックする云々。
(『必ず自分を通して』というのがお題目のように繰り返されてました。)

会話には、私も知っている(ちゃんとした)コンサルタントの方や会社の名前も出てきていましたが、こんなところで話題に出されるのは良い迷惑だなというくらいお粗末でした。


何が言いたいかというと、金融機関において、本当に金融を必要としている中小企業にアクセスしてもらい、土台に乗せるだけの体勢が未整備なため、(一見)相談しやすいブローカーが跋扈しているのではないかと感じた次第です。

金融に携わる者として、自省し尽力したいと思います。