人材危機〜建設業から沈む日本

『人材危機〜建設業から沈む日本』(日経アーキテクチュア・日経コンストラクション編/日経BP社)を読了しました。


仕事柄「人件費が上がって請負金額自体は高騰している一方儲からない」「工事を請けてもらえる専門工事業者がいなくて現場が止まっている」という話はよく聞きます。


まず本書では、人件費は高騰している訳ではなく、適正な水準に近づいてきているだけだと書かれています。

精査はしていませんが、本書で書かれている数字では、全業種の平均と比較して建設業の給与水準は低く、社会保険にすら加入していない(負担できない)会社も多いとのこと。

業界で求められている若年層の方にしてみれば、一定の水準の給与や待遇が見込めない上に仕事がキツいというイメージがありますので、敬遠されがちなのでしょう。


このようななかで、本書では「職人・技術社不足を乗り越える処方箋」として『雇用・育成』『待遇改善』『省力化』の3つが提示されています。

たしかにいずれも大事なことなのですが、処方薬の効果が現れるまでには大分時間がかかるように感じました。


施工する建設会社、発注者となるデベロッパー共々、中小規模の会社にとっては足下の仕事をどうするかということが大きな課題です。

本書では、法整備は進むが根本的な課題にはならないと書かれている海外労働力の活用や、業界団体の認可制とされており、かつ充分に活用されていない人工の融通など、検討すべきことはまだまだあると思います。


今を乗り切り、業界を健全に発展させる方法について、関係者全員で更に知恵を絞る必要がありますね。