事業者金融の実務

先日、NBFA(全国事業者金融協会)の研修会に参加してきました。

講師は会員の貸金業者(仮にA社とします。)の代表者の方でした。


興味深かったのが、法定金利で商売をしていくのは可能なのかというテーマでした。

現在、政府では法定金利を29.2%まで引き上げることで、貸金業者による融資を増やそうとしていますが、本当に現在の金利では採算が採れないのでしょうか?という問いかけがありました。

講演では、企業倒産の年次推移について、負債件数・総額共に減少傾向にあり、後者は平成12年のピーク時に比べ約1/10に減少しているとの説明がありました。

貸金業法が改正された頃には不良債権が多く、金利が高くないと採算が採れなかったが、不良債権が減少している現状では、必ずしもそうでは無いというロジックですね。

実際にA社さんでも、改正貸金業法完全施行前の平成21年をピークに不良債権処理額が減少していて、(もちろん法定金利内で)ちゃんと儲けを出しているとのことでした。

概ね2.7億円の利息収入に対して約1,500万円の債権償却があっても2,900万円の利益を計上しているとのこと。
ちなみに法改正当時は4千〜6千万円程度の不良債権が発生していたとのことです。


A社さんは手形の割引と事業者融資を2本柱で行っており、事業者融資残高が減少したタイミングで手形割引額が増えたということで、補完関係のある事業分野をタイミングに応じて比率を変え、上手く組み合わせているという印象でした。


手形割引、債権担保融資、無担保融資の実務についてそれぞれお話し頂いた上で、企業経営の理念についてもご紹介頂きました。

経営者の務めとして
企業を永続させる(役員報酬の2年分以上を己の会社に貸すetc.のお話しがありました。)
従業員を幸せにする(労働分配率を50%以上とし、安定した雇用と優れた技能の伝承を。)
愚直に利益を上げる(不良債権は社員の能力を向上させる最善の策であるetc.)
将来の危機に備える(保険の活用)
IT化の推進
といったお話しを頂きました。


同業者の財務を含めた内容をお伺いできる機会は限られていますので、非常に参考になりました。
ありがとうございました(^^)